イオン結合と共有結合

25分 Part 1 / Ch1 / Lesson 4
前提レッスン: 1-1-3

到達目標

  • イオン結合の仕組みを電子配置から説明できる
  • 共有結合の仕組みと電子式・構造式を書ける
  • 配位結合の概念を理解する
  • 電気陰性度と極性の関係を説明できる

結合の全体像

イオン結合電子を渡す・もらう金属 + 非金属例: NaCl, MgO→ 陽イオン + 陰イオン共有結合電子を共有する非金属 + 非金属例: H₂, H₂O, CO₂→ 分子金属結合自由電子を共有金属 + 金属例: Fe, Cu, Au→ 金属結晶
原子が安定な電子配置(希ガス型)を達成するための3つの方法

すべての化学結合の目的は安定な電子配置(希ガス型: 最外殻8個)を達成すること。その方法が「電子を渡す/もらう」ならイオン結合、「電子を共有する」なら共有結合。

イオン結合

ナトリウム Na (2, 8, 1) → 電子1個を失う → Na+\mathrm{Na^+} (2, 8) = ネオンNe型

塩素 Cl (2, 8, 7) → 電子1個を得る → Cl\mathrm{Cl^-} (2, 8, 8) = アルゴンAr型

Na+\mathrm{Na^+}Cl\mathrm{Cl^-}静電気的な引力(クーロン力) で結合 → イオン結合

組成式: NaCl\mathrm{NaCl}(分子式ではなく、イオンの最も簡単な整数比)

共有結合と電子式

非金属原子どうしは電子を共有して結合する。

電子式:HH共有電子対構造式:HH1本線 = 共有電子対1組
水素分子 H₂ の共有結合: 各原子が電子1個ずつ出し合って共有
結合の種類共有電子対の数構造式での表記
単結合1組HH, CH\mathrm{H-H,\ C-H}
二重結合2組O=O, C=O\mathrm{O=O,\ C=O}
三重結合3組NN\mathrm{N≡N}

電気陰性度と極性

電気陰性度 = 共有電子対を引きつける力の強さ。差が大きいほど結合に極性(電荷の偏り)が生じる。

元素FON, ClCH
電気陰性度4.03.43.02.62.2
  • 無極性共有結合: 同じ原子どうし(H2,O2\mathrm{H_2, O_2})→ 電気陰性度差 = 0
  • 極性共有結合: 異なる原子(HCl\mathrm{H-Cl})→ 電気陰性度差 > 0、電子がClに偏る
  • イオン結合: 電気陰性度差が非常に大きい(NaCl\mathrm{NaCl})→ 事実上電子が移動

配位結合

配位結合: 共有結合の一種で、一方の原子が非共有電子対を一方的に提供する結合。結合後は通常の共有結合と区別できない。例: NH4+\mathrm{NH_4^+}H3O+\mathrm{H_3O^+}


確認クイズ

Q1 NaCl の結合はどのタイプ?

Q2 N₂ 分子中の窒素原子間の結合は?

Q3 電気陰性度が最も大きい元素は?

Q4 H₂O 分子の O-H 結合に極性があるのはなぜ?


演習

問1. CO2\mathrm{CO_2} の電子式と構造式を書け。(C: 価電子4、O: 価電子6)

解答・解説

Cは4個の電子を共有する必要があり、Oは各2個ずつ。CとOの間に二重結合が2つ:

構造式: O=C=O

Cの周りに共有電子対4組(二重結合×2)、各Oの周りに共有電子対2組+非共有電子対2組。すべての原子がオクテットを満たす。

問2. MgCl2\mathrm{MgCl_2} がイオン結合からなることを、電子配置を用いて説明せよ。

解答・解説
  • Mg (2, 8, 2): 最外殻の電子2個を失って Mg2+\mathrm{Mg^{2+}} (2, 8) → ネオン型
  • Cl (2, 8, 7): 電子1個を受け取って Cl\mathrm{Cl^-} (2, 8, 8) → アルゴン型

Mg1個が電子2個を放出、Cl2個が各1個ずつ受け取るので、Mg2+\mathrm{Mg^{2+}}Cl\mathrm{Cl^-} が1:2の割合でイオン結合し、組成式は MgCl2\mathrm{MgCl_2}