このレッスンの核心
molは「粒子のダース」— 1ダース=12個のように、1mol = 6.02×10²³個
物質量 (mol) は粒子(原子・分子・イオンなど)を 6.022×1023 個ずつまとめて「1 mol」と数える単位。この 6.022×1023 /mol をアボガドロ定数 NA という。
なぜ mol が必要なのか
原子や分子は極めて小さく、化学反応では膨大な数の粒子が関わります。
- 水素原子1個の質量: 約 1.67×10−24 g
- コップ1杯の水に含まれる水分子: 約 6.7×1024 個
こんな巨大な数を毎回書くのは非現実的です。そこで「ひとまとめにして数える単位」= mol を使います。
よくある誤解
「molは質量の単位」→ 違います。molは個数の単位です。1 mol=6.022×1023 個。質量の単位は g です。molを質量に変換するには「モル質量」が必要です。
mol ↔ 粒子数の変換
粒子数 N と物質量 n (mol) の関係:
N=n×NA
mol → 粒子数の変換: ×NA、粒子数 → mol の変換: ÷NA
例: 水 H2O が 2.0 mol あるとき、水分子は何個?
N=2.0×6.022×1023=1.2×1024 個
mol ↔ 質量の変換(モル質量)
モル質量 M (g/mol) = 物質 1 mol あたりの質量。数値は原子量・分子量・式量と一致する。
m=n×M
mol ↔ 質量 ↔ 粒子数の三角変換図
例: 炭素 C の原子量は 12.0 なので、C のモル質量は 12.0 g/mol。炭素 24.0 g は:
n=Mm=12.0 g/mol24.0 g=2.00 mol
mol ↔ 気体の体積(標準状態)
標準状態(0 °C、1.013×105 Pa)において、すべての気体は 1 mol あたり 22.4 L の体積を占める。
V=n×22.4 (L)
これは気体の種類に関係なく成立します(アボガドロの法則)。
標準状態で1molの気体 = 22.4L(一辺約28cmの立方体)
まとめ: molの4つの変換
| 変換 | 公式 | キーとなる値 |
|---|
| mol → 粒子数 | N=n×NA | NA=6.022×1023 /mol |
| mol → 質量 | m=n×M | M: モル質量 (g/mol) |
| mol → 気体体積 | V=n×22.4 | 標準状態で 22.4 L/mol |
| 質量 → mol | n=m/M | |
例題
例題1: 質量 → mol → 粒子数
水 H2O 36.0 g に含まれる水分子の数と、水素原子の総数を求めよ。
(H=1.0, O=16.0, NA=6.022×1023 /mol)
H2O のモル質量 M:
M=1.0×2+16.0=18.0 g/mol n=Mm=18.0 g/mol36.0 g=2.00 mol NH2O=2.00×6.022×1023=1.20×1024 個 H2O 1分子に H は2個含まれるから:
NH=1.20×1024×2=2.41×1024 個
例題2: 気体の体積 → mol → 質量
標準状態で CO2 5.60 L の質量は何 g か。
(C=12.0, O=16.0)
n=22.4V=22.45.60=0.250 mol MCO2=12.0+16.0×2=44.0 g/mol m=n×M=0.250×44.0=11.0 g
確認クイズ
Q1 1 mol の粒子の数は?
Q2 水 $\text{H}_2\text{O}$ のモル質量は? (H=1.0, O=16.0)
Q3 標準状態で 2.0 mol の酸素 $\text{O}_2$ の体積は?
Q4 mol は何の単位?
演習
問1. 鉄 Fe (Fe=55.8) 111.6 g は何 mol か。
解答・解説
n=55.8111.6=2.00 mol
モル質量 M=55.8 g/mol で割るだけ。
→ mol↔質量の変換
問2. 標準状態で N2 11.2 L に含まれる窒素分子の数を求めよ。
解答・解説
n=22.411.2=0.500 mol
N=0.500×6.022×1023=3.01×1023 個
体積 → mol → 粒子数の順で変換。
→ mol↔気体の体積
問3. NaCl (Na=23.0, Cl=35.5) 1.00 mol の質量と、含まれる Na+ イオンの数を求めよ。
解答・解説
式量 =23.0+35.5=58.5 なのでモル質量 M=58.5 g/mol
m=1.00×58.5=58.5 g
NaCl は Na+ と Cl− が1:1なので、Na+ も 1.00 mol:
NNa+=1.00×6.022×1023=6.02×1023 個
問1. メタン CH4 (M=16.0 g/mol) 8.00 g を標準状態で完全燃焼させた。生じる CO2 の体積と水 H2O の質量を求めよ。(H=1.0, C=12.0, O=16.0)
解答・解説
反応式: CH4+2O2→CO2+2H2O
メタンの物質量:
nCH4=16.08.00=0.500 mol
係数比から:
- nCO2=0.500 mol
- nH2O=0.500×2=1.00 mol
CO2 の体積(標準状態):
V=0.500×22.4=11.2 L
H2O の質量:
m=1.00×18.0=18.0 g
問2. ある気体の標準状態での密度が 1.964 g/L であった。この気体の分子量を求めよ。
解答・解説
標準状態で 1 mol=22.4 L だから、1 mol の質量 = モル質量:
M=1.964×22.4=44.0 g/mol
よって分子量は 44.0(CO2 に相当)。
ポイント: 「密度 × 22.4 = モル質量」は気体の分子量決定の基本パターン。