カルボン酸とエステル

20分 Part 4 / Ch7 / Lesson 4
前提レッスン: 4-7-2 , 4-7-3

到達目標

  • カルボン酸の性質と代表例を知る
  • エステル化反応と加水分解を理解する
  • 油脂とセッケンの化学を説明できる

カルボン酸

カルボン酸 R-COOH: カルボキシ基 (-COOH) をもつ有機酸。

  • 弱酸(酢酸 CH₃COOH など)
  • 水溶液中で電離: R-COOHR-COO+H+\mathrm{R\text{-}COOH \rightleftharpoons R\text{-}COO^- + H^+}
  • 塩基と中和、金属と反応して水素発生
名称化学式炭素数特徴
ギ酸HCOOH1還元性あり(アルデヒド基も持つ)
酢酸CH₃COOH2食酢の主成分
シュウ酸(COOH)₂2二価の酸、還元性あり
乳酸CH₃CH(OH)COOH3ヒドロキシ酸(-OH + -COOH)
安息香酸C₆H₅COOH7芳香族カルボン酸

代表的なカルボン酸

ギ酸の特異性: HCOOH は -CHO に相当する構造を含むため、銀鏡反応・フェーリング反応を示します。

エステル化

R-COOH+R-OHH2SO4R-COOR+H2O\mathrm{R\text{-}COOH + R'\text{-}OH \underset{H_2SO_4}{\rightleftharpoons} R\text{-}COOR' + H_2O}

  • 可逆反応(濃硫酸は触媒兼脱水剤)
  • エステルは果実のような芳香を持つものが多い
  • 逆反応 = 加水分解
エステル原料(酸+アルコール)香り
酢酸エチル酢酸 + エタノール果実臭
酢酸イソアミル酢酸 + イソアミルアルコールバナナ
酪酸エチル酪酸 + エタノールパイナップル

代表的なエステルと香り

油脂

油脂 = グリセリン + 高級脂肪酸 3分子のエステル

  • 脂肪(固体油脂): 飽和脂肪酸が多い(ステアリン酸 C₁₇H₃₅COOH など)
  • (液体油脂): 不飽和脂肪酸が多い(オレイン酸 C₁₇H₃₃COOH など)

不飽和油脂 + H₂ (Ni触媒) → 硬化油(マーガリンの原理)

セッケンと洗剤

油脂(エステル)+ NaOH →グリセリン+R-COONa← セッケン
セッケンの製造(けん化)

けん化: 油脂 + NaOH → グリセリン + 脂肪酸ナトリウム (セッケン)

セッケンは親水基 (-COO⁻) と疎水基 (長鎖アルキル基) を持ち、界面活性剤として働きます。


確認クイズ

Q1 エステル化は何と何の反応か?

Q2 ギ酸が銀鏡反応を示す理由は?

Q3 けん化とは?


演習

問1. 酢酸とエタノールのエステル化反応の化学反応式を書き、平衡を右に移すための工夫を2つ挙げよ。

解答・解説

CH3COOH+C2H5OHH2SO4CH3COOC2H5+H2O\mathrm{CH_3COOH + C_2H_5OH \underset{H_2SO_4}{\rightleftharpoons} CH_3COOC_2H_5 + H_2O}

平衡を右(エステル生成側)に移す工夫:

  1. 濃硫酸を加える: 脱水剤として水を除去 → 平衡が右に移動
  2. 原料の一方を過剰にする: アルコールまたはカルボン酸を多く加える → ルシャトリエの原理